水色の過去とオレンジ色の未来
14話目 彼女いるの?
PM 7:20⇒
ドアの向こうから笑い声が聞こえる。
千亜ちゃんと涼祐の笑い声だ。
キャーキャーと千亜ちゃんが笑ってる。
涼祐も楽しそうに笑ってる。
いいなー千亜ちゃん。
なんて思っていたら、ドアを叩く音がした。
「はい」
「入るぞ」
「涼祐?いいよ」
「ほい、お土産」
「ドーナツだ。ありがと」
「そうだ、オレの部屋で食べるか」
「えっ?」
「せっかくカップもらったし」
「うん!」
あたしってば超単純。
「特売で買ったコーヒーだけど」
「ありがと」
二人で向かい合って飲むコーヒー。
同じオレンジ色のカップ
同棲している恋人みたいで照れちゃう。
「なに赤くなってるんだ」
「なってないよ」
「緊張した?」
「緊張した」
「そうだよな」
「余計なこと涼祐が言うし」
「ごめん、謝る」
「もういいけど」
「どうせ後からバレるから、先に先手打ったんだよ」
「なにそれ、おかげで攻められっぱなしだったよ」
「悪かったよ」
「ドーナツ食べないの?」
「オレはいらないよ」
「こんなに食べられないよ」
「じゃぁ1個食べる」
パクッと涼祐が食べた。
「あのさ、みんないい人だね」
「ん?」
「クラスの人、安心した」
「うちの男子はどう? タイプいる?」
「芝原君はかっこいいね、明るくて優しいし」
「あいつはモテるからな、優斗は?」
「えーっと、尾村君? 悪くないんじゃない」
でもね、あたし的には涼祐が一番だったよ。
「前の学校に彼氏いるのか?」
「いない、いない」
「寂しいやつだな」
「何それ、あたしだって中学の時はいたんだよ」
「遠いなその話」
「なんか腹立つ〜、涼祐はどうなのよ」
知りたい、めちゃくちゃ知りたいです。
彼女いるの? いるの?
「いないよ」
「いないんだ」
よっしゃー! 第一関門突破!
「去年の夏に突然振られたよ」
「そうなんだ」
涼祐、今ちょっと悲しい顔した?
「彼女欲しくないの?」
「どうだろ、今はいらないかな」
少しガッカリ。
「彼氏欲しい?」
「そりゃーあたしだって年頃だし」
「そのうちできるんじゃない」
「そうかな」
「一人だからって流されるなよ」
「えっ?」
「一人暮らしだからって、寂しいからって理由で好きになったらダメだよ」
「うん」
「寮暮らしだけど、一応は一人暮らしだからね」
「うん」
「自分を安売りすんなってこと」
「……分かった」
なんか同い年の言うセリフじゃないよ。
どうして涼祐はそんなに落ち着いてるの?
クールっていうか、常に冷めてるっていうか。
それとも、見透かされてる?
あたしが、涼祐にほの字ってること。
「元カノは同じ学校なの?」
「いいや違うよ」
「まだ好きなの?」
「なんでそんなこと聞く?」
「別に、なんとなく」
「もうこの街にはいないしね」
「そうなの?」
「うん、だからもう二度と会うこともないだろな」
少しホッとした。
……あたしって嫌な女。
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