水色の過去とオレンジ色の未来

15話目 お祭りの夜と痛い心

PM 0:35⇒
早いもので、この街に来て1ヶ月が過ぎた。
学校にも慣れてきた。
友達もできた。
涼祐は相変わらずいつもの調子で、自分から多くは話さない。
でも、前に比べれば大違いだ。
気軽に話もできるし、部屋にも遊びに行ったりしている。

「リオちゃん、学校帰ったらお祭り行こうよ」
「奈月ちゃん、お祭りって終わったばかりでないの?」
「今週もあ・る・の♪今週がホントのお祭りだよ」
「そうなんだ」
「うん、みんなで行こ」

PM 6:05⇒
久しぶりのアホ女子高生二人組。
「なんか久々って感じね」
「やっぱお祭りは浴衣だね、カネゴン」
「それにしても混んでるね」
「空いていたら寂しいじゃん」
「だね」
「既に寂しいけどね〜女2人で」
「それは言わないでよ」
「食べよ、タコ焼きと、焼きそばと、お好み焼き」
「アキ、食べる前から胸焼けしてきたよ」


PM 6:12⇒
「さっち、あの変なストラップ買ったの?」
「なに言うの彩花、かわいいですわ」
「奈月ちゃん、その焼きそば大盛り?めちゃ多くない」
「お兄さん〜サービスして〜って言ったら大盛りにしてくれたよ」
「リオちゃんはお菓子系しか食べないの?」
「イチゴ飴とチョコバナナ、クレープは食べないとお祭りって感じしないしょ」
「リオ的お祭りの基本なんだね」

「リオちゃん?」
「えっ」

振り返ると、そこには則子おばさんがいた。
せっかくの楽しいお祭りなのに……
この世で一番会いたくない人。

「ごめん、ちょっと待ってて」

大嫌いな人。

「元気かい?」
「はい」
「そう、佳祐は」
「元気です」
「典明さんと里香は元気なのかい」
「はい、父も母も元気です」
「そう、まっ元気に働くのが当たり前だけどね」
「……」
「これ以上、恥をかかないように頑張りなさいって言っておいて」
「……」

「あなたは進学するの?」
「そのつもりです」
「そう、まぁいいわ、頑張りなさい」
「はい」

相変わらず上から見下ろすような態度に腹が立った。
何も言い返せない自分にも腹が立った。
早く大人になりたいと、強く思った。

「ごめん、待たせちゃったね」
「危なくナンパされそうになったんだよ」
「マジで? あたし、どんな感じでナンパされるか見たかった」
「リオちゃん、なんか変だよそれ」


PM 6:15⇒
お祭りの夜は部屋でボーッとしていた。
どこにも行く気になれなかった。

「涼祐ありがと〜♪」
「誕生日は明日だけどね」
「うれしー」
「ホントは、ハイって感じで突然手渡す方がサプライズっぽいけどね」
「1人で選ぶの恥ずかしかったんでしょ」
「それもあるけど、菜々美が自分で決めるほうがいいしょ」
「あーぁ、女の子を分かってないな〜君は」
「来年はがんばるよ」
「うん、でもね菜々美、凄く嬉しいよ」
「ホント?」
「ホントだよ、これ欲しかったんだ〜デニムで3段ティアードのミニ」
「でも、短すぎない?パンツ見えそうだよ」
「う〜ん、見えてもいいパンツも欲しいな〜」
「これは見えてもいいパンツ?」
「こっこら〜セクハラだぞー」
「その水色のパンツ、なんかエッチっぽいぞ」
「昨日買ったんだ、超お気に入りなの」
「菜々美ちゃん、おいら鼻血が出ちゃいそうです」
「あはははは、エロおやじ入ってる〜」
「男ってそんなもんだって」
「涼祐」
「ん?なに」
「今日は泊まっていくから」
「えっ?」


「菜々美、涼祐が世界で一番好き」
「うん」
「愛してるよ、涼祐」


日付が変わった頃、僕たちは少し大人になった。
菜々美の17回目の誕生日は、大きめのタオルケットの中で迎えた。
絶対に彼女を離さないって心に決めた。

明日は18回目の誕生日……
最後のメールをまだ消せないでいる。

『幸せになってね』

そんなの無理だよ。

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平原nazca