Nazca Novels 雪原に舞い散る赤い雪

第1話 好きになりたい

「金崎君、最近彼女できたんだって」
「大塚さん、どこから聞いたんですか?」
「青柳君からよ」

あの野郎、余計なことを言いやがって。
ちなみに、僕は金崎英太でなりたての高校3年生。
本屋でバイトしてます。
青柳ってヤツは親友で名前は真弥。
大塚さんは大学生で彼女もここでバイトしてます。
彼女は21歳、さすがに大人で色っぽい。
僕はここでバイトしていて幸せなのです。
だから、最近彼女できたって知られたくなかった。
高校生なんか相手にするわけないけど、けっこう凹んだ。
真弥のバカちんが〜

…翌日…

「金崎君ってバイトの休みはないの?」
「月に2回くらいかな?」
「え〜、全然一緒にいる時間がないよ」

志緒理が口をとがらせて言った。
最近付き合いだした彼女で名前は南志緒理さん。
別に好きだから付き合ったわけでなく、告白されて断りきれなかったってパターンだ。
徐々に好きになっていければいいのかなって思う。
ゆっくりと愛を深めていけばいいさ。
今日もバイト、でも休みの日を増やさないとダメかな?

◇◇

「前(株)ですか?分かりました。はい領収書になります」
もう少しで今日も終わりだ。
「ねぇねぇ金崎君、終わったらご飯食べない?」
大塚さんが話しかけてきた。
「いいっすね、オレも腹減ってて」
「じゃぁ向かいのファミレスで食べて帰ろ」

◇◇

「彼女と上手くいってる?」
「ぼちぼちです」
「なんか冴えないわね」
「まだ1ヶ月くらいだから、そんなもんでしょ」
「向こうから告白してきたの?」
「そうです」
「金崎君もその子好きだったんだ」

大塚さんは興味津々って顔で質問してくる。

「それが…オレその子、あまり知らなかった」
「えっ、なのにOKしたの?」
「はぁ、そんな感じです」
「え〜信じられない」
「いや、これから頑張っていこうって感じで」
「ふ〜ん、そんなに彼女欲しかったんだ」

幻滅したって顔をされた。

「OKしたんだから、責任持ちなさいよ」
「はい」

まるで説教されている弟みたいだ。
やっぱり大塚さんには知られたくなかった。
あの真弥のくそバカたれが全部悪い。

そうはいっても、志緒理と付き合うからには頑張るよ。
志緒理を好きになるつもりだ。
できればずっと長くいられるようになりたい。

よく考えたら、久しぶりの彼女だ。
半年前に葵に振られて以来だ。
葵とは中2から高2の冬まで付き合ってた。
しっかりクリスマスプレゼントをあげてから振られた。
女の子って、ちゃっかりした生き物だな。
う〜ん、彼女できると金かかるのが難点だな。
今は免許とったから車早く欲しいし。
もう少し金が貯まれば兄貴の車をゲットできる。
そうしたら志緒理とドライブに行ける。
とにかく無駄を省いて経済しなくては…

ジュースは1日1本にする。
漫画は立ち読みで済ます。
CDも買わずにネットでDLする。
たまに母さんに小遣いをせびる。
よし、この戦法でいこう。

 Index Next →

ランキングに参加中です。一押し応援して頂けたら嬉しいです。
NEWVEL 乙女の裏路地 Wandering
Network
恋愛ファンタジー
小説サーチ
HONなび
copyright (C) 2009 Nazca Novels All Rights Reserved.