Nazca Novels 雪原に舞い散る赤い雪

第2話 恋心は晴れのち曇り?

「南いる?」
「志緒理なら今日は休んでるよ」

志緒理の友人の相良さんが教えてくれた。

「風邪?」
「う〜ん、違うと思う」
「サボり?」
「たぶんね、あの子学校嫌いだから」

学校嫌いだからサボりか……しょうがないな〜
まぁ理解できなくはないけどね。
オレもたまにサボりたいって思うけど、学校は嫌いじゃない。

「せっかくバイト休みだったのに……」

…翌日…

「学校嫌いなの?」

唐突に聞いた。

「えっ?あ…うん、好きじゃないよ」
「オレ、昨日休みだったんだバイト」
「えーそうだったの?今日は?」
「今日はバイト」
「……ガッカリ」

志緒理が悲しそうな顔をした。

「今日も休みだよ」
「ホント?」
「ホント、休み増やしたんだ」
「それって志緒理のために?」
「そういうこと」
「うれしいよ〜」

そう言って志緒理は僕の腕に抱きついてきた。
彼女の胸の感触が肘から脳に伝わってきた。
やっぱ彼女いるっていいな。

「どっか寄っていく?」
「プラネタリウム」
「そんなとこあるの?」
「うん、行こ」

◇◇

人工的に作り出した星空は小さな星までよく見えた。
実際に街中でこんなに星が見えたなら、環境問題なんて取り上げられないだろう。
人工物が増えすぎた世界だけど、その中で人間は自然の美しさを求める。
それは矛盾した世界……その中で暮らしている。
大昔の人間は星を見て美しいと思っていたのかな?
それとも当たり前のことで大した感動もなかったのかな?
そんなことを考えながらオレは人工的な夜の世界を見ていた。

「きれいだね」

そう言って志緒理はオレの手を握ってきた。
星明かりに写る志緒理がきれいに見えた。
心拍数が上昇していったのが分かった。

「なんか首が痛くなったね」
「そうだね、あのさ腹減らない?」
「なんか食べる?」
「おごるよ」
「やったー!私リゾット食べたい」
「店知ってるの?」
「任せてっ」

得意そうな顔をして志緒理が言った。
志緒理がオレの手を引っ張りながら目的の店まで行った。

「お店ってあそこだよ」

距離にして30m位だった。
あと20mって所で志緒理が急に立ち止まった。

「その前に寄りたい所があるんだった」
「えーっ後でいいじゃん」

オレの言葉を無視するように来た方向に戻った。
志緒理の横顔に違和感を憶えた。

◇◇

志緒理は携帯のストラップを見ていた。

「ねぇ、お揃いの付けようよ」
「なんかハズいって」
「あー彼女のお願い聞いてくれないんだ」

ふてくされた表情をして志緒理が言った。

「分かったよ」
「わーい」

志緒理が選んでいる姿を後ろから見ていた。

「英太」

僕を呼ぶ声がした。

『バンっ!』
「痛てっ」

そこには葵と有希那ともう1人女の子がいた。
有希那は葵の親友で中学の同級生だ。
もう1人の子は初めて見る子だ。

「英太何やってんの?」

有希那が聞いてきた。

「別に」
「珍しいね英太がこっちに来るなんて」

確かに家の方向とは逆の所に来ている。

「ねぇ、あの子彼女?」

葵がニヤニヤしながら聞いてきた。

「お前には関係ないだろ」
「あー悲しいな〜元カノにそんなこと言って」

オレを振っておいて、よく言うなコイツは。
ちょっとムッとした顔で葵を見ようとしたら、その前にもう1人の女の子と目が合った。
その子は少し戸惑った表情をして視線をそらした。

「邪魔したら悪いから消えるね」

そう言って3人は立ち去っていった。

「あの子元カノなの?」

少し表情を曇らせた志緒理が聞いてきた。

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