第2話
確かに忙しいと理由をつけながら合コンに行ったときもあった。
それはどうしてもメンツが足りないから仕方がなかった。
確かに忙しいと理由をつけながらエッちいお店に行ったときもあった。
それはどうしても男の付き合いがあったから仕方がなかった。
確かに忙しいと理由をつけながら前の会社の事務の礼子ちゃんと映画に行ったときもあった。
それはどうしても……礼子ちゃんが可愛かったからだ。ごめんなさい。
しかし、僕にはやっぱり千香しかいない。
僕は千香を愛している。
そろそろ千香が大泣きする。
それは絶対に嫌だ。
近所迷惑だけは避けたい。
今日は千香とあのレストランで待ち合わせだ。
2人が初めて食事をしたレストラン。
何かの記念日には必ず行くレストラン。
支配人がオカマっぽいレストラン。
でも、とてもいい人だ。
僕は今日、千香に指輪を渡す。
結婚しようとプロポーズをする。
もう大泣きなんてさせないよ。
待っていてくれ千香。
僕はこの雪の降る夜に君を幸せにすると誓うよ。
……降りすぎだよ雪が。
前が見えないくらい降っている。
時間がだんだん進んでいく。
車は全然進んでいかない。
大泣きする千香が頭を過ぎった。
それは嫌だ。
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