Nazca Novels 女子高生の計画的同棲

第7話 一人の夜

「これは彼氏が選んだの?」
「このパンツはエッチだな〜」
「由菜いいな〜彼氏が大人で」
「そんなことないよ」
「だって学生は貧乏だも」

ドアを開けると革靴が1,2,3足多かった。
アイツ、友達を連れてきたな。
それと今晩はカレーライスだな。

ドアを開けてリビングに入った。

「おじゃましてます」

女の子の元気な声が響いた。

「いらっしゃい」
「由菜、けっこうイケメンじゃん」
「大したことないよ」

……いきなり好き勝手なことを言っている。

テーブルの上には昨日買ってあげたスカートや下着があった。
まったく、何をやっているのやら。

「あの〜由菜のどこが好きなんですか?」
「ラブラブなんですよね」

二人の女の子が連発で聞いてきた。
この子達は僕と由菜の関係をどう認識しているのだ?
好きでラブラブ……なんでそうなっている。
クソ生意気でツンデレのSだからって、言ったら殺されるよな。

「かわいくて女の子らしいところかな」
「きゃーラブラブ」

いちいちリアクションがデカいな。
てか、声が大きいよ。

「やめてよキイちゃん、恥ずかしいよ」
「キイちゃんって呼んでるんだ〜」
「ラブラブ〜」

目眩がしてきた。
おい由菜、なんか態度が変じゃないか?
なに正座しながらモジモジ恥ずかしがっている。
メチャメチャ乙女ちっくモードじゃん。
思いっきり猫かぶってやがる。

「これは選んであげたんですよね」

僕が選んだエロっぽい下着を指さして聞いてきた。
すげー恥ずかしくなってきた。

「一応、大人っぽいのもあっていいかなって」
「由菜に着せて何しようとするんですか?」
「由菜の彼氏超エッチだ〜」

言いたい放題だ。

「そんなことキイちゃんに聞かないでよ。恥ずかしいよ」

お前がそんなのを出してくるからだろうが!
てっ、そのモジモジ演技はするなって。

「キイちゃん、今夜はカレーね」

僕と由菜は食卓テーブル、お友達はリビングのローテーブルで食べた。
よく炒めた玉葱がいい味出していた。

「おじゃましました」
「由菜、ラブラブだからって寝不足はダメだよ」
「うん」
「彼氏さん、たまには我慢してあげてね」
「も〜恥ずかしくなること言わないでよぅ」

玄関から出て行く最後まで賑やかだった。
そして、急に静かになった。
どっと疲れが出てきた。

「どういう設定になっているんだ」
「年上の彼氏」
「……」

そう言って僕の横を通り過ぎ、食器を片付け始めた。
どうして面倒くさい設定にするかなぁ。

「彼氏じゃダメだった?」
「普通は兄にするだろ」
「イヤだ」
「なんでや」
「うるさいバカ」

さっきまでのモジモジさはどこに行ったのだ?
いつもの由菜に戻っていた。

お友達がいてくれた方がいいかも。

由菜は勉強を始めた。
僕も仕事の関係の本をソファで読み始めた。
静かに時間が経過していった。

「調べたいことがあるからパソコン貸して」
「どうぞ」

今度はパソコンに向かって勉強し始めた。
高校生もいろいろ大変なんだな。

僕はいつの間にか眠ってしまった。

【マイピクチャ】

『カチッ』

「あ」

『カチカチ』

「もう別れたんでしょ」

このファイルをごみ箱に移動しますか?

《はい》

このファイルを完全に削除しますか?

《はい》

『クシャクシャ』

「全然分かってないよバカ」

《シャットダウン》

『カチッ』


◇◇


あれ?なんか苦しくなってきた。
息ができないぞ。
枕を顔に押し当てられていた。

「寝るからどけて」
「殺す気か」
「自分のトコで寝て」

なんかますます機嫌が悪いな。
ダウンロードしたエロ動画でも見つけたのかな。
いや、あのフォルダはロック掛けている。
だから問題はない。
要するにいつもの由菜だってことか。

「おやすみ」

今日一日が終わった。


◇◇


あれから日々は過ぎ、由菜は夏休みに入った。
いいな〜学生は夏休みや冬休みがあって。
もう一度高校生に戻りたいな。

そういえば驚いたことがあった。
由菜は学年で一番頭がいいという事実。
あの騒がしいお友達が教えてくれた。
この間のテストもパーフェクトに限りなく近かった。
全然そうは見えなかったからアゴが落ちそうになった。
毎日勉強しているし、努力家なんだな。
それに、由菜はいつも寄り道なしでまっすぐに帰ってきているらしい。
たまに友達と遊びに行ったりしないのかね
毎日晩飯作るから早く帰ってくるのか?
無理しないで遊びに行けばいいのに。
できれば、たまに友達の家にでも泊まりに行ってくれるとありがたいけどな。
そんなこと言ったらメチャクチャ怒るだろうな。

なんかすっかり由菜がいるのが当たり前になっているな。

「ごちそうさま」
「片付けたら友達の家に行ってくる」
「そっか」
「泊まってくる」
「マジで?」
「今うれしそうな顔した」
「しっしてないって」
「女連れ込んだら火を付けるから」
「……」

目がマジで怖かった。
火を付けるって……もう自由に使えないな〜オレの部屋なのに。

「行ってくるから」

『ガチャ』

由菜は部屋から出て行った。

やったー。
久しぶりの自由だ!
それに明日は休みだ!
とりあえずビールを飲もう。
アイツがいると酒臭いって文句言われるから。
今夜はそんな心配はナッシングだ。

「かぁ〜うめえ」

久しぶりに美味しいビールを飲んだぞこの野郎。
もう一本飲んじゃうぞ。
いいだけ一人で酒を飲んだ。

「寝るか」

僕はパンツ一丁でベッドに入った。

あれ?

いつの間にか癖が付いていた。
毎日、由菜は夜中に必ず潜り込んでくる。
そのスペースを確保していた。
今夜はいないのに……

久しぶりの独りぼっち。

アイツは今頃何をしているのだろう?
僕はなかなか寝つけなかった。

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