Nazca Novels 雪原に舞い散る赤い雪

第12話 罪には罰を

葵の時もそうだ。
付き合って3年経ったときに、いきなり振られた。
彼女にしてって言ったくせに……
しかもクリスマスの日に。

今度は1ヶ月くらいでこれかよ。
めちゃくちゃバカみたいじゃんよオレって。
女の子ってこういう生き物かよ。
都合が悪くなればハイさようなら。
そんでもって、なんの反省もなしで忘れてしまう。
やっぱアイツとは付き合わなければよかったって思うだけ。
身勝手極まりない。

このままでは終われない。

「こんな簡単に別れられるワケ?」
「だって……」
「志緒理ってそんな女なの?」
「だって…あの時英太が凄く冷めた顔をしたんだもん」
「あの男が本命でオレがその次か…」
「違う…違うよ、お友達だよ」
「なら別れる必要があるの?」
「別れなくていいの?」

志緒理が驚いた表情で聞き返してきた。
もう少しだ。

「志緒理が誰と遊ぼうが、いちいち気にしていたら疲れるだけだろ」
「怒っていないの?」
「オレだって他の女の子と遊んだりするだろ」
「うん」
「あの日だってバイト先の女子大生もいたわけだし」
「そうなんだ」
「一緒にいられるときは仲良くしようよ」
「ホントに別れなくてもいいの?」
「いいよ」
「英太……英太好きだよ〜ぅ」

志緒理が僕に抱きついてきた。

「別に気にしないでいいから…友達とは今まで通りの付き合いをしていていいからね」
「うん、ありがとう」

布石を打った。
これから先はどうしようか考えなければならない。
罪には罰を与えなければいけないから。

「英太キスして」
「ダメ」
「う〜やっぱ怒ってる〜」
「怒ってないよ」
「あっ」

僕は志緒理のスカートの中に手を入れてお尻を触った。

「英太のエッチ」
「教室に戻るぞ」


◇◇


『ガラガラ』

「英太どうなった?」
「まだ別れないわ」
「マジで?」
「真弥、頼みがある」
「頼み?」
「あの女、いろいろ探っておいてくれ」
「なんか面白そうじゃん」
「頼むわ」
「そういうことはオレ様に任せておけって」
「あとさ、遠山にも言ってくれ」
「それはナイスだな」

志緒理が僕の見えない場所で何をしているのか。
志緒理の周りの状況を把握する必要がある。
それまで志緒理とは仲の良いカップルでいよう。
もっと僕のことを好きになってもらわないといけない。
彼女には偽物の愛を提供しよう。

「お前って悪いヤツだな」
「悪いのはアイツだ」
「あとで恨まれて刺されるぞ」
「そうならないようにするために真弥に頼んでいる」
「オレ、命がけの捜査だな」
「頑張ってくださいね、探偵さん」
「報酬は高いからな」

お互いを信じ合うことができて、初めて恋人と呼べるはず。
自分本位の身勝手な欲求に振り回されたくはない。
そんな女がいるからダメな男が増えてくる。
どんどん世の中が変になっていく。
僕はそんな男にはなるつもりはない。

罰を与えなければ……

絶対的不利な状況に陥れて別れる。
今までしていたことを後悔させてやる。

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