Nazca Novels 雪原に舞い散る赤い雪

第14話 ヤバそうな夜遊び友達

「お疲れ様でした」
「帰り何か食べに行かない?」
「オレも腹減りました」
「じゃあ決まりね」

大塚さん……あの夜のことは何もなかったって感じで接してくれている。
だけど僕はあれ以来、彼女のことが気になって仕方がない。
そんな自分のことをガキだなって痛感する。

彼女は和風ハンバーグを僕はリゾットを注文した。

「彼女とはどう?」

僕は今のことを彼女に説明した。

「なかなか凄いことをするのね」
「けっこう面倒です」
「そうだよね〜偽装するのって」
「仕方ないのでキスもしました」
「したくなかったんだ」
「はい」
「キスぐらいいいじゃん」
「だって…」

だって大塚さんとキスした後のキスだもの…
そんなキスなんかしたくないよ。
そこまで割り切れていないというか、あの夜のキスを引きずりすぎているというか……
要するにそこまで大人じゃないってことなんだよ。

「どうしたの?」
「だって大塚さんとキスした後だから」

彼女は少し驚いた表情をしてからクスッと笑った。

「金崎君ってかわいいね」
「ガキだって思っているんでしょ」
「ううん、そう思っていてくれて嬉しいな」

彼女はそう言って僕のスプーンを取り上げた。
そして僕のリゾットをパクッと食べた。

「帰りに寄ってく?」


◇◇


「朝帰りって、いい加減にしなさいよ英太」
「行ってきます」
「まったく」

眠たいけど、今日の僕は元気だ。
何故か地下鉄駅まで走っていった。

『赤信号』

信号待ちをしていると背中に感じた。
あ、やばい。
僕は後ろを振り返った。

「おはよ」
「はぁはぁ、お…おはようございます」
「今日は振り返ったよね」
「はぁはぁ、なんか微妙に反則気味ですけど」
「そんなこと言わないでよ」
「だって走るんですもん」

走ったから喉が渇いた。
コンビニで飲み物でも買おう。

「ジュース買うけど、純夏ちゃんも何か飲む?」
「いえ、私はいいです」

僕はスポーツドリンクを買った。

「今日はどうして走ったのですか?」
「う〜ん、よく分かんない」
「私から逃げようとしたとか」

ちょっぴり怒ったような表情で彼女が言った。

「ちっ違うって!」
「怪しいです」
「被害妄想だよ〜ほれこれでも飲んで」

僕は彼女に飲みかけのスポーツドリンクを渡した。

「あ……」

彼女は頬を赤くしながら飲んだ。

「美味しい」


地下鉄に揺られながら学校に向かった。
昨日の朝のことを彼女は一言も口にしなかった。

「それじゃまたね」
「はい」

僕は地下鉄を降り、学校に向かった。
アスファルトの照り返しが朝から熱い。

「バイトではキレイな大学生、通学時はカワイイ後輩か」
「真弥、何が言いたいんだよ」
「お前って意外とモテるみたいだな」
「さあな」
「志緒理ちゃんの夜遊び仲間って、何かヤバそうなヤツがいるみたいだぞ」
「ヤバそうって、どんな類だ」
「クスリをやってるヤツがいるみたいだ」
「マジかよ、クスリって合法?」
「今のところはな」
「いずれはってパターンか」
「なんとも言えないな」

さすがにそこまでは予想していなかった。
志緒理のことはどうでもいいと思っているけど、そこまで堕ちてはほしくないな。
一応僕の彼女だし……

「面白いネタがあったら報告するな」
「悪いな」
「楽しくなってきたぞ〜」
「楽しくないぞ」
「お前って表向きは彼氏なんだから、もしヤバイことになったら面倒だぞ」

真面目な顔で真弥が言った。
確かにその通りだ。
エスカレートして麻薬に手を出すなんてことになったら、僕も疑われるかもしれない。
それはいくらなんでも冗談じゃない。
変なとばっちりを受ける前にさっさと終わらせないと……

← Back Index Next →

ランキングに参加中です。一押し応援して頂けたら嬉しいです。
NEWVEL 乙女の裏路地 Wandering
Network
恋愛ファンタジー
小説サーチ
HONなび
copyright (C) 2009 Nazca Novels All Rights Reserved.