第10話 みんな沢田?
「冬花、いつまで寝てるの!」
「う〜ん、もう少し」
『ドサッ』
「ん〜ん〜ん〜ぱはっ窒息するかと思った」
「自分の洗濯物は自分でたたみなさい」
眠いよ〜今何時なの?
う〜ん、えっもう11時になるの?
「どうして起こしてくれなかったの?」
「何回も起こしました」
「はう〜」
「さっさと顔洗って用意しなさい」
「待ってよ〜洗濯物もたたんでないもん」
ズボンはこうでしょ、ブラウスはここを揃えて…こんな感じね。
靴下は並べてこうだよ。
パンツは……パンツってどうたたむの?
「冬花、早くしない!
時間がないよ」
「分かったよ」
あーもう、今行くってば。
『ドタドタドタ』
お昼のメニューは肉団子とポテトサラダとコーンスープにしました。
全部私の大好物です。
だから織川君にも食べさせてあげたいなって思ったんだ。
「人差し指と親指の間からニュッと出すようにするの」
「う〜ん、こう?」
「そうそう、上手だよ」
なかなか上出来じゃないですか。
「冬花、マヨネーズ入れすぎじゃないの?」
「その方が美味しいもん」
「織川君、太っちゃうよ」
メタボリックな織川君……想像したくないです。
「早く混ぜないと時間がないよ」
「分かってるって、おりゃおりゃおりゃ…あたたたたたたた〜」
「冬花、なんか爆発しそうだよ」
『ピンポーン』
あ…織川君が来たよ。
『ガチャッ』
「よう」
「いらっしゃい織川君」
「いいのか?」
「いいよ、でももう少しだから私の部屋で待ってて」
「うん」
「2階の階段上がったら右側の部屋だから」
「分かった」
「ソファーないからベッドにでも座ってて」
「うん」
◇◇
『ガチャ』
ここが沢田の部屋か。
え〜っと、オレ女の子の部屋って初めてだ。
「よいしょ」
ここでアイツが寝てるんだ。
ん?
これなんだ?
縞々に水玉にギンガムチェック、フリフリ……
汗がドバッと出てきた。
『ガチャッ』
「沢田ちょっと、おーい沢田」
「何よ」
「うわっ、あの……こんにちは」
「君が織川君?」
「は、はい」
「ふ〜ん」
沢田の姉さんか……何でこうマジマジと見る?
「オッケー合格♪」
「???」
えっ?
なに?
何が合格なの?
全然よく分からんぞ。
「どうしたの?」
「あの沢田にちょっと用があって」
「沢田に?」
「はい」
「私も沢田ですが」
「……」
そういえば、この家の人は全員沢田だ。
「名前で呼んであげてよ」
「名前で?」
「そうでしょ、みんな沢田なんだから」
そんな急に名前で呼べって言われたって……
でも、しょうがない。
「冬花、ちょっと」
「そんな小さい声で聞こえるわけがないでしょ」
「だって、名前で呼んだことなんかないもの」
「恥ずかしいの?」
「恥ずかしいですよ」
マジで照れるって。
「頑張って今日から冬花って呼んであげて」
「はぁ」
「あんた男でしょ」
「冬花、ちょっと来てくれ」
◇◇
「冬花、ちょっと来てくれ」
えっ、織川君?
「冬花だって、どうする冬花ちゃん?」
私のこと、名前で呼んでくれた……
超うれしいですぅ〜♪
『ドタドタドタ』
「どうしたの?」
「ちょっとお前の部屋」
「お部屋がどうしたの?」
「あの、なんて言えばいいのか……」
「ん?」
「いいからちょっとこいって」
『ガチャ』
「どうしたの?」
「だから……だからベッドの上の何とかしろよ」
「上のって、ああっ!」
それは冬花の超プリチーなお尻を包むオキニのパンチュちゃんではないですか〜
「うわ〜っ、ゴメン今片づけるから〜」
ドジっ娘冬花は頭の中が爆発しそうです。
← Back Index Next →
ランキングに参加中です。一押し応援して頂けたら嬉しいです。 | |||||
NEWVEL | 乙女の裏路地 | Wandering Network |
恋愛ファンタジー 小説サーチ |
HONなび |