Nazca Novels 冬花の夏〜小5の夏の恋心〜

第11話 何食べたい?

冬花は昨日、徹夜で特訓しました。
半分以上はお母さんが手伝ってくれたけど、ガンバッたんだよ。
織川君、私の初めての料理の味はどう?
どうか美味しいって言ってくれますように……

「うまい!すげー美味しいよ」

タラララララララララララ〜〜タ〜ララ〜ラ〜ララ〜♪(※音声有
今の冬花は愛がすべてって感じですぅ〜
自分で何を言っているか分かんないけど…
超うれしー(^O^)

「おい、なんで泣くんだよ」
「だって、だって、嬉しいんだもん」
「おい沢……冬花泣くなよ」
「そんなこと言われたって、涙止まんないんだよ〜」

織川君は困った顔をしています。
ごめんなさい。
でもね、こんなに嬉しいのって今までで一番かもしれないんだよ。
どうしてなのか分からないけど、凄く幸せな気持ちなの。

「ふゆタンは女の幸せっていうのを1つ学んだね〜お母さん」
「何を生意気なこと言っているのかな〜夏花ちゃん。それよりあんた妹に先超されてるよ」
「……悔しいです!」
「そういうオチかい」


◇◇


「ホントに美味しかった?」
「ホントだよ」
「私、明日も作る」
「いいって、それに明日は野球試合があるし」
「野球の試合?」
「あぁ、朝から晩までね。室に人足りないから出ろって言われた」
「じゃぁ夕ご飯作る」
「ホントいいって」
「何食べたい?」
「えーっと、カレーかな」
「夕ご飯はカレー作る」
「ええ〜っ」

冬花は調子に乗って明日も織川君に夕ご飯を作ります。
あれ?なんかホッとしたのか眠たくなってきました。

「おい沢田……寝ちゃったのか?」
「スースースー」
「まったく、ありがとうな冬花」


◇◇


近くに織川君を感じるよ。
とっても気持ちがいいんだ〜

「せっかく仲良くなれたのにな」

冬花はずっと織川君と仲良くしていたいよ。
6年になっても、中学に行っても仲良くしようね。
だから……どこにも行ったりしたらダメだよ。
できれば、織川君の一番大切な人になりたいな。
未来のことなんてずっと先だから分からないけど、まだ子供だから分からないけど……
織川君の帰る場所に私は待っていたいな。

「あれ? 織川君、私寝ちゃってた?」
「爆睡って感じだったぞ」
「寝ながらいろいろ考えていたんだよ」
「そうなのか……あのさオレ、もう帰るな」
「あ、うん」
帰っちゃうんだ、寂しいかも……
晩ご飯も食べていけばいいのにな。

「おじゃましました」
「また来てね」

織川君は今日も誰もいない所に帰っていくんだよね。
それって本当は寂しいよね。
私がもっと大人だったら、待っていてあげられるのに…

「今日は早く寝ろよ」
「うん、織川君……あの……」
「カレー楽しみにしてるよ」
「頑張る、私頑張るから。野球も見に行くから」

織川君は照れくさそうに手を振って歩いていきました。

「冬花、おやすみ」

名前で呼んでくれるのって特別みたい…
くすぐったくて、恥ずかしくって、だけど嬉しい……
ごめんね織川君、なんか私のワガママに付き合ってくれて。

志典君、おやすみなさい。

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