Nazca Novels 冬花の夏〜小5の夏の恋心〜

第9話 特訓?

冬花は有言実行の女の子です。
早起きして料理に挑戦しています。

「おはよ……ってどうしちゃったの?ふゆタン」
「冬花は今日から料理、洗濯、お掃除を自分で頑張るんだって」
「ふゆタン、頭でもぶつけちゃった?」
「お姉ちゃん、今真剣なんだから」
「すいません」

「夏花、君の妹は彼氏ができたんだよ」
「ええ〜っ!!」

お父さんは飲んでいるコーヒーを吹き出してしまいました。

「お母さん、違うって!」
「え〜違うの?ガッカリ」

ウサギさんの耳が落っこちてしまいました。
料理って難しいです。

「ふゆタン、彼氏ってどんな子?」
「だから違うよ〜」
「私だってまだ彼氏いないのに〜」
「お姉ちゃん違うって」


◇◇


「ホント?母さんにおめでとうって言ってください」

「いえ、お父さんは母さんのそばにいてあげてください」

「大丈夫です。オレ、けっこう楽しんでます」

「謝らないでください。オレ決心してます。それに、一緒にいられるだけで嬉しいです」


「織川君って携帯持っているんだ」
「うおっ、沢田か〜ビックリした」
「いいな〜携帯」
「好きで持っている訳じゃないよ」

織川君は昨日と同じ寂しそうな顔をしました。

「沢田」
「なに?」
「昨日はありがとうな」

あ〜ん、冬花嬉しいよ〜
よし、決めました。
明日は冬花がお料理を作ってあげます。

「明日とあさって、休みだよね」
「土日だからな」
「給食ないもんね」
「学校に誰もいないからな」

……遠回しすぎです。
全く織川君に伝わっていません。

冬花はこう見えても積極的なアクティブ小学生なのです。

「織川君、明日は何しているの?」
「掃除と洗濯かな〜」

むにゅ〜、小学生らしくない週末の過ごし方です。

「じゃあ、お昼うちに食べに来てね」
「いいって」

がーん! あっさり拒否られました。

「私が作るから、お昼ご飯」
「沢田が……マジで言っているのか?」
「大マジだよ」

織川君は少し考え込みました。
そんなに悩むことでもないと思うけどな。
はっ、それって私が作るから不安だってことでしょうか?

「明日の昼飯楽しみにしてるよ」
「うん、任せて!」

よーし、冬花は俄然やる気が出てきました。
今日は徹夜で頑張ります。


◆◆


「それで徹夜で料理の特訓するんだ」
「……うん」
「冬花、あんた主婦業をナメているわね」
「ごめんなさい……でも、織川君と約束しちゃったもん」
「まったく、バカなんだから」
「ごめんなさい」

そんなこと考えてなかったよ〜
だけど……今さら出来ないなんて言えないもん。

「じゃあ、寝ないで特訓だよ」
「はい」

ありがとうお母さん、冬花全力で頑張ります。

「そんなに織川君が好きなの?」
「うん、えっ違うよ〜だって織川君が大変そうなんだもん」
「ふ〜ん」
「ホントだってば」
「お母さんの小さい頃と同じ……親子ね」

沢田冬花は夜中の2時過ぎまで頑張りました。
もう限界ですぅ〜

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