Nazca Novels 冬花の夏〜小5の夏の恋心〜

第13話 いよいよ潜入開始?

「美味そうじゃん」
「これしか作れなかった」

おにぎりとハンバーグとエビチリとマカロニサラダ。
だけど、全部自分で作ったんだよ。

「美味いよ」
「美味しい?」
「冬花も食えよ」
「うん」

「それ沢田が作ったのか?」

振り返ると室山君と由美がいました。

「うん、そうだよ」
「冬花凄〜い」

なんか恥ずかしいです。

「室山君、今度由美がお弁当作るから」
「お、おう」

由美がメチャメチャ対抗心を燃やし始めてきました。

午後からは準決勝が始まりました。
織川君と稲橋君は私が見ていても、ずば抜けて上手です。
エースの福永君も室山君もがんばりました。
準決勝も快勝です。
そしていよいよ決勝戦です。

『ゲームセット』

4対6で負けちゃいました。
相手のチームは全員が6年生なので大健闘です。
だけど、みんな悔しそうでした。
その姿を見て咲希が泣いていました。

「ちくしょう! てめーら今度は尻の穴洗って待ってろよ」

をいをい咲希、その発言は小学生らしくないぞ。


「惜しかったね」
「……勝たせてあげたかったな」

とても寂しそうに織川君は言いました。

「今度があるよ」
「……」

織川君は黙ったままでした。
私は次にかける言葉が出てきませんでした。

「帰るか」
「うん」

私は織川君の少し後ろをついて歩きました。
後ろ姿が寂しそうに見えました。

「織川君、あの〜晩ご飯なんだけど……」
「カレーだろ」
「行っていいのかな?」
「待ってるよ」
「はい♪」


◇◇


「ふゆタン、大荷物だね〜」
「あとはお水を入れてグダグダにするだけです」
「グツグツでしょ、それじゃ出来上がる前から失敗しているみたいだよ」
「そっか、失敗は許されません!」

お肉OK、ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、ハチミツ、リンゴもOK。
うん、準備OKです。

「冬花、がんばってね」
「がんばる」
「ふゆタン、二人っきりだからってムフフなことしたらダメだよ」

『バシッ』

「あ〜お母さん、夏花の周りで星が回っているよ〜キラキラ光る♪」
「お姉ちゃん、ムフフって?」
「いいから早く行きなさい」
「は〜い」

『バタン』

「なんか家出少女に見えなくもないね」
「好きな男のために……なんて一途でかわいい妹なんでしょう」
「完全に先超されてるわね」
「ふん、穴だらけにされて早く捨てられろってーの!」

『バシッ』

「ほごわっ」


◇◇


えーっと、517を押してっと。

「冬花?」
「うん」
「待って、今開けるよ」

『カシャッ』

おーこれがオートロックって代物ですか。
文明とは素晴らしいものです。あー感心、感心。

517は……あっここだ。
あれ?
木嶋って表札になっているよ?
間違っていないよね。

『ピンポーン』

『ガチャッ』

「よっ」
「来ちゃいました」
「あがれよ」
「はい」

いよいよ織川君の家に潜入開始です。

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