Nazca Novels 冬花の夏〜小5の夏の恋心〜

第14話 ワールド入国?

うわーなんかオシャレだな〜

「どうした?」
「マンションってオシャレなんだなって思っちゃって」
「オレは一戸建ての家の方がいいな」
「そっか、家庭菜園とかできないよね」
「お前は主婦か」

さあ、いよいよ本日のメインイベントが始まります。
あらかじめ具材は用意してあります。
基本的にはお鍋にお水を入れて煮込むだけです。

「用意してきてたのか?」
「うん、偉いでしょ」
「そうだな」

あとはグツグツしてきたらルウを入れて、できあがる前にリンゴとハチミツを入れて完成です。

「冬花、なんでオレにそんなにしてくれるの?」
「えっ? それは……だって織川君大変でしょ」

言えない、そんなこと言えないですぅ〜
織川君が好きだからなんて……

「表札に木嶋って書いてあったよ」
「だって木嶋だものこの家」
「だって織川君は織川君でしょ」
「母さんは再婚して木嶋になった。オレは死んだ父さんが織川だからそのまま織川」
「……よく分かんないな」
「オレまで木嶋になったら織川が無くなるんだよ、代を継げなくなるでしょ」
「あ…先祖代々ってやつだ」
「そういうこと」

なんか私には難しすぎる問題かも。

「オレが大人になって結婚して、子供を作って子孫を残さないとダメだってことだな」
「子孫繁栄だ」
「ちょっと意味合いが違うような……まっ、そんなようなもんだ」

う〜ん、男の子って責任が重そうで大変だよな〜
私はお嫁さんになったら、名字が沢田から違う名字に変わるだけで難しいことは考えなくてもいいんだよね。

お嫁さん……
織川冬花……

織川君のお嫁さんになった織川冬花になるんだ。
そしたら、織川君の帰りを待っていてあげられる……
子供は男の子と女の子がいいな〜
赤ちゃん……織川君の赤ちゃんが欲しいな。
何を考えているかな〜私って。
あ…赤ちゃんを作るって……

※@♀Φ♂%∀♪〜

「冬花、大丈夫か? 顔が真っ赤だぞ」
「へ? 大丈夫だす」
「だす?」

噛んだ〜!
沢田冬花は小学生らしからぬ妄想ワールドに入国しちゃってました。

「そろそろルウを入れてもいいんじゃないか」
「入れる……あぁ、ルウ入れなきゃ」
「大丈夫か?」

沢田冬花はまだ出国できていませんです。

・・・・・⇒

「できた!」
「いい感じじゃん」

神様、どうか美味しくできていますように。

「冬花、完璧だ」
「やったー」

沢田冬花、もう私はあなた色に染まっちゃっています。

ずっと織川君のそばにいたい……
大人になっても、この気持ちが変わらないと今は信じていたいです。
早く大人になりたいって強く思いました。

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