第15話 どうして?
「八坂、冬花は?」
「そうそう、冬花から朝電話があって熱出したから休むんだって」
「マジで?」
「織川君、今さぁ冬花って言ったよね」
「あ…いいじゃん、別に」
「最近あんた達って怪しいよね」
「怪しくねえって」
冬花、アイツ無理しすぎたんだよな。
オレなんかのために……なんかアイツにすげー悪いことしたな。
◇◇
「そうなる気がしてたんだ〜砂漠に雪降らすようなことするから」
「うわ〜酷いことサラッと言ったよ」
「そんなに好きになっちゃたの?」
「ちがっ、違うって」
「真っ赤な顔しちゃって」
「もう向こう行ってよ」
「1つだけ忠告するけど、冬花はまだ織川君の彼女じゃないからね。まだガキだし」
「あっ当たり前でしょ!忠告って……それってどう意味?」
「それは自分で考えなさい」
彼女じゃないよ、だってまだ5年生だし。
そんな……ねえ、まだそんな関係って早いよね。
何言っちゃっうかな〜お母さん、当たり前でしょ。
織川君が喜んでくれるならそれでいいもん。
彼女なんて……織川君の彼女か〜
ホントは彼女になりたいな。
◆◆◆
『ピンポーン』
「はーい、あら織川君」
「こんにちは」
「ごめんね〜わざわざ来てもらって」
「冬花の具合は?」
「反動が一気にきたのね〜急にやったことのないことするから」
「すいません」
「いいのよ、かえってゴメンね纏わり付いちゃって」
「あの、オレ実は……」
『コンコン』
ん?
眠っているのか?
『ガチャ』
……コイツ、寝相が悪いな。
背中が出ている…
出ている……パジャマから出ている……
縞々の……水色の縞々……この間ベッドにあった縞々……
冬花が今穿いている縞々……
おわっ、冬花隠せよバカ!
オレは慌ててタオルケットを冬花に掛けてあげた。
「うーん」
コイツ、せっかく掛けてやったのに寝返りうちやがった。
!?
あわわわわわ冬花……胸、胸が見えそうだぞ。
ボタン2個も外すなよ〜
……けっこうコイツ胸あるかも。
やばっ、見えそう……
うわー、オレ帰る。
頭がクラクラしてきた。
「あれ?織川君」
「……冬花」
「来てくれたんだ」
「うん、大丈夫?」
冬花が起きあがろうとした。
「あれ?」
「ちょっ、危ないって」
「ゴメンね、クラッときちゃった」
「いいよ起きなくて」
「あっ織川君、あのね、あの〜手が……」
「手? おわっ、ゴメン」
「……」
「ゴメン、ワザとじゃないんだって」
「うん、大丈夫だよ」
ヤバイ、オレ頭の中がパニクッてる。
でも、なんか柔かったぞおい。
ダメだ〜オレこんな時に何エロいこと考えてるんだよ。
帰らなきゃ、早くこの場から逃げなきゃ。
「私のしたことって迷惑だったかな」
「えっ?」
「今日一日考えていたの。ホントは迷惑だったのかなって」
「迷惑じゃねえって」
「だって、私は別に織川君の彼女でもないし……」
冬花、どうしてそんなに寂しそうな顔をする?
オレは凄くうれしくて、凄く楽しかったよ。
彼女って恋人同士ってどんな感じか分からないけど、たぶん昨日の夜みたいな幸せな感じなんだろうな。
冬花がオレの彼女だったら、オレはうれしいな。
「迷惑じゃないよ、ホントうれしかったよ」
「ホント?」
「だけど、もうそんなことしなくていいから」
「もうしたらダメなの?」
「もういいよ」
「どうして?
やっぱり迷惑?」
「違うよ、上手く言えないけど、うれしくて泣きそうになっちゃうんだ」
「どうして泣きそうになるの?」
冬花が不思議そうな表情をした。
「あさって母さんが退院してくるんだ」
「そうなんだ〜良かった」
本当はね、もう少ししたらお別れなんだ。
もう冬花には会えなくなるんだ。
これ以上はもういいんだ。
だって楽しいより悲しいって感じになってくるから。
だからお前のこと、ホントは好きになりたくないんだ。
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