Nazca Novels 冬花の夏〜小5の夏の恋心〜

第18話 恋の価値?

「ただいま」

『タッタッタッタ』

『ガチャ』
『バタン』

もう寝る。


『トントン』

「冬花、どうしたの?」
「なんでもない」
「ケンカしたの?」
「なんでもないってば」

ほっといてよ。
誰とも喋りたくないの。

「冬花、話すと楽になったりするよ」

お母さんの手が私の頬を撫でてくれました。
優しいお母さんの手。

「うっ、う……おかあさん、え〜ん」
「どうしたのかな?」
「他の学校に好きな子がいるって」
「だから泣いているの?」
「だって、悲しくって悔しくって、どうしていいか分かんないよ」
「あらあら、心配していた通りになったねぇ」

お母さんの忠告ってこういうことだったの?
一方的な私をお母さんは心配してくれていたんだ。
お母さんはもっと織川君のことを考えてあげなさいって言いたかったんだ。
私は好きになってもらおうとして、織川君の気持ちなんて全然考えていなかった。

「人を好きになるって大切なことよ」
「うん」
「でもね、それがそのまま返ってくるのは希なことなの」
「……うん」
「それでも人はね、いつか出会う大切な人を探しながら大人になっていくのよ」
「……」
「冬花はまだ小学生だし、大事なお友達なんだからね」
「はい」
「冬花、今は泣いちゃえ」
「おかあさ〜ん」

私は夜遅くまで晩ご飯も食べずに泣いていました。

同じクラスになってから、ずっと気になっていました。
その時はまだ恋だって分かっていませんでした。
お話しできるようになってうれしくなりました。
二人っきりで歩いてドキドキしました。
他の子と仲良くしているのを見てヤキモチを焼きました。

毎日が彼を中心に回っている……これが恋だと知りました。

美味しいって言われて舞い上がりました。
笑ってくれると幸せな気持ちになりました。
会話ができなかった日は落ち込みました。
学校で会えないと寂しくなりました。

人を好きになることは切ないです。
好きな想いが伝わらないことはとても悲しいです。

私は初めて恋の痛さを知りました。


『コンコン』

お姉ちゃんでした。

「私だったら好きだって告白するけどな〜それでダメだった諦めるけどね、私の場合は」
「もういいの」
「あんたの恋は安いな〜うん、安い! 特売品だ」
「うるさいな〜出て行ってよ」

何よ、人の気持ちも知らないで勝手なことを言っちゃって。

「初めての恋ってね、とっても大切なんだよ」
「どうして?」
「大人になってもずっと心に残るからだよ」
「……」
「せっかく好きになったんでしょ、冬花にとって価値のある恋にしなきゃだめだよ」
「価値って?」
「好きになって良かったって思える恋だと思うよ」
「それって好きって伝えた方がいいの?」
「伝えてもいいし、胸の中にしまっておいてもいい。それは冬花が決めることだよ」

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