Nazca Novels 冬花の夏〜小5の夏の恋心〜

第2話 二人だけ?

今日は宿泊研修なのだ。
一泊二日で自然公園に行ってくるのです。
森を探索したり、川遊びや陶芸にも挑戦するのです。
前の日はワクワクして眠れなかったのです。
私はバスの中で爆睡してしまいましたよ。

「冬花着いたよ」
「ふぁ〜もう着いたの?」

周りを見ると緑一色の世界が広がっていました。

「咲希凄いよ〜山ん中だよ〜」
「空気が美味しいね」
「う〜ん、私には美味しいかどうかは分かんないや」
「冬花…せっかく合わせているんだから…空気読んでよ」
「空気?あ…咲希、空気美味しいね♪」
「なんの空気なのか分からなくなったよ〜」

本格的な夏がすぐそこまで来ています。
夏が来るのを教えてくれるように、セミさん達が鳴いてくれています。
小川の流れる音がとても心地良いです。

まずは荷物を宿泊所に置きに行きます。
どんな所に泊まるのかな?
お化け屋敷みたいだったら嫌だな〜

「おぉー凄い」

ログハウスのような素敵なコテージです。
それに、なんかオシャレです。

「きれいな所で良かったね、冬花」
「うん、熟睡できそう〜」
「え〜もう寝ること考えるの?だからおばさんって言われるのよ」

由美が呆れたような顔しています。

「う〜そうじゃなくって、きれいだから怖くないなって」
「そっか、由美もお化けとか出そうな所だったらどうしようって」
「新しいからって出ないとは限らないよ〜」
「やめてよ咲希〜」


午前中は森の散策です。
ガイドのおじさんが色々教えてくれます。
野鳥のさえずりや大きな蝶々、リスさんにも会えました。
でも、リスってけっこう爪鋭いのです。
木の幹を走るリスの爪音がカチカチって聞こえてきます。
あぁ〜んお目々がかわゆいでしゅ〜
う〜ん、森の中ってとっても気持ちがいいです。
でも、疲れてきちゃったよ。


お昼はお弁当をみんなで食べましたよ。
自然の中で食べると美味しさもひと味もふた味も違います。

『きゃー冷たい〜』

声の方を見ると小川で水遊びをしているクラスメイト達がいました。
みんな仲良く隣のクラスの人達も楽しそうに遊んでいます。
わたしも誘われるように行ってしまいました。

「あ…冷たくて気持ちいい……」

あー極楽、極楽ですぅ〜

「冬花…なんかお婆ちゃんみたいだよ」
「由美、気持ちがいいよ〜」
「もう少ししたら、散策に行くよ」
「もう行くの?」
「行くよ」
「そういえばグループはどうなったのかなぁ」

男子と女子で6人のグループで散策することになっているけど、結局グループ分けができなかったんだよね〜うちのクラスは……

「福永君達と一緒になったよ♪」

咲希がニコニコしながら近づいてきました。

「他の人は誰なの?」

今度は由美がニコニコしてる。

「室山君と織川君だよ」
「へぇ〜そうなんだ」
「待っているから行こうよ」

由美も咲希も元気だな〜

福永君達と合流しました。
咲希は福永君と、由美は室山君と仲良く先に歩いて行きました。
そういうことですか……
咲希は福永君だったのですね。

……ということは、私は織川君とペアってことに強制的になりますよね。
えーっと、う〜ん……どうしよう……

「沢田」
「はいっ、何でしょうか?」
「……俺達だけ取り残されているぞ」
「あらホントだ」

周りには誰もいなくなっていました。

冬花、困っちゃいました。

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