第3話 変わる瞬間?
めちゃくちゃ緊張してきたよ〜
男の子と二人っきりって…きゃー緊張しますです。
「あの、不束者ですが、よろしくお願いします」
「え〜と……こちらこそ」
会話が全くないですぅ〜
「沢田、アレ見てみろ」
「なに?」
織川君の指さす方向には……
「これってクワガタ?」
「そうだよ、ミヤマクワガタだよ」
「ミヤマクワガタ……ミヤマって美しい山って書くのかな?」
「そこはカタカナでいいんじゃないか」
私はクワガタを触ってきた。
「ちょっと怒っているかも」
「完璧に怒っているな」
「ねぇ、捕まえてみんなに見せてあげる?」
「いやダメだ、かわいそうだろ」
「そう」
「沢田だって知らないヤツにいきなり連れられていったらイヤだろ?」
「うん、怖いよ」
「同じだよ」
「そうだね」
織川君ってジェントルマンだ〜
私と織川君はクワガタをノートにスケッチしました。
「織川君って頭が良いから何でも知ってるみたいだね」
「たまたまだって」
……会話が続かないですぅ〜
あ…この木に引っかかっている物体は…
「織川君、セミの抜け殻だよ〜」
「沢田ちょっと動くな」
「えっ、なんで?うわっ虫?えっ、ハチ?ヤダ怖いよ〜」
「ちょっ、落ち着けって沢田」
ブンブンと私の周りを飛び回っています。
冬花絶体絶命の大ピンチです……ってそんなナレーションしている場合じゃないです〜
「あっ」
織川君が私のそばに来てくれたよ。
「頭下げてろ」
「うん」
「よし、走るぞ」
織川君は私の手を引いて走り出しました。
私はしっかりと織川君の手を握りました。
「もう大丈夫だろ」
「怖かった〜」
「ちょっとそこのベンチに座って休むか」
「うん、あの……ありがとう」
「気にするなって」
織川君って優しいかも…
「あれ?ヤダまた来たよ〜」
「沢田……」
私って甘い匂いでもするのかな〜
「アブだ」
「あぶ?」
「ハチじゃない」
「大丈夫?」
「もう大丈夫だよ」
あれあれ?
私って無意識に織川君に抱きついていましたよ。
「あの……ごめんなさい」
「いや、気にするな」
二人して赤い顔になっちゃいました。
緊張したけど織川君とお話しできて良かったです。
・・・・・⇒
日が傾き始めました。
夕食はカレーライスを作ります。
咲希と由美はなんとかなるさって言っていたけど大丈夫かな〜
イチモツの……じゃなかった、一抹の不安を感じます。
「由美、いいトコ見せるよ」
「分かったよ咲希」
咲希と由美。
猛烈な気合いを感じます。
私も頑張って作るぞ〜
「井東、大丈夫か?」
「室山君、今由美に話しかけたら危険です」
「八坂も……いや今は黙っているぞ」
「ありがと福永君」
「沢田、リンゴも入れるのか?」
「リンゴとハチミツは定番だよ」
「それはヒデキ感激だ……ってホント大丈夫か?」
大丈夫じゃないよ〜お母さん助けて〜
ギリギリセーフって感じです。
あとはリンゴの皮を剥いて擦りおろすだけです。
リンゴは入れないとダメなのです。
(-_-;)
(>_<)
(T_T)
リンゴの皮ってどうやって剥くの?
「リンゴは入れなくてもいいんじゃないか?」
「だって入れたら美味しいもん」
泣きそうになってきました。かっこ悪すぎます。
「沢田、包丁貸して」
「えっ、はい織川君」
織川君…あっという間にリンゴの皮を剥いちゃいました。
凄いっていうか、かっこいいです。
「沢田、あとは擦るだけだ」
「織川君凄い」
「慣れているからなオレは」
「そうなんだ」
みんなで食べるカレーはとても美味しいです。
少しだけど、私も頑張りました。
「沢田、このカレー美味いぞ」
「ホント?」
「リンゴがいい感じで、マジで美味いぞ」
織川君が褒めてくれました。
「ありがと……」
なんか急に恥ずかしくなってしまいました。
あれ?なんだろ?
今まで感じたことのない変な感覚……
胸の中が痛いような、くすぐったいような感じになりました。
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