Nazca Novels 冬花の夏〜小5の夏の恋心〜

第22話 おすすめの場所?

私は走って病室に向かいました。
織川君、待っているかな?
だけど、織川君の姿はありませんでした。
看護士さんに聞いてみよう。

「志典君なら退院したから屋上にいるんじゃないかな」
「ありがとうございます」

屋上に猛ダッシュしました。

織川君はどこかな?えーっと……あっいた!
ベンチに横になっている織川君を発見しました。
あ…寝ちゃってる。
えへへ、寝顔がかわいいよ。
キスしちゃうぞ。
キャー私ったら何言っちゃってるの〜
冬花のおマセさん。

―30分経過―
あのーもうそろそろ起きてくださってもよろしいかと思うのですが。
ホントにキスしちゃうぞ。
織川君のほっぺを触ってみた。

「ん、あれ? 冬花来てたの?」
「もう30分以上ここにいます」
「ゴメン、起こしてくれよ」

織川君が体を起こして私を見ました。

「どうしたの?」

そんなに見つめられると、冬花照れちゃいます。

「三つ編みにしたの初めて見た」
「お姉ちゃんがしてくれたの」
「スゲーかわいいぞ」

かわいいって言われました。
超うれしー♪
お姉ちゃんに大感謝です。

病院を出て二人で歩きました。
どこに行くってわけではないけれど、織川君と二人で歩いているだけで幸せな気持ちでいっぱいです。

「あっ、クレープ屋さんだ」
「わー美味しそうだね」
「おごってやる」

私はアイスとバナナチョコ、織川君はアイスと三色べリーにしました。
ベンチで向かい合って食べるクレープは美味しいです。

「美味しいね」
「ちょっと食わせろ」

織川君が私のを食べました。
食べました。
私の食べたところをパクッと食べたんです。
間接キス。
心臓が……冬花の心臓はお祭りの太鼓です。
ドンドコドンドコ…ドコドコドコドドドドドド〜
乱れ打ち状態です。

「私も食べる」
「ほれ」

『パクッ』

織川君が食べたところを私が食べました。
食べたんです。
間接キス。
心臓が……冬花の心臓は大きく膨らむ風船です。
シュー〜〜〜〜〜〜〜〜〜
爆発する〜って爆発したら死んじゃうよ。
興奮して訳ワカラナイです。

「大丈夫か?」
「うん、美味しいね」

味なんてどうでもいいです。
てか、分かりません。

「冬花……あのさ、お前……」
「ん? なに」
「パンツ見えてる」
「あわわわわ……あっ」

『ボタッ』

袋からクレープが全部落ちました。
大ショックです。
向かいに座れって、お姉ちゃんのバカ!
めっちゃ気まずいじゃん。
ワザと見せるためにオキニのパンツはいてきたみたいだよ。
……私って動機が不純すぎです。小学生のくせに。

「オレのやるよ」
「だって」
「もう食べれないよ」

織川君のをもらっちゃった。
美味しいよ。

「どっかおすすめの場所ってないか?」
「おすすめの場所?」
「景色がいいとか、きれいな場所とか」

えーっと、どこかな〜おすすめの場所は……
あっ、ある。

「私のおばあちゃんの畑に行こうよ」
「うん、私の家の裏でけっこう近いんだ」
「よし、行ってみるか」

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