Nazca Novels 冬花の夏〜小5の夏の恋心〜

第5話 これって恋?

「ちょっと、冬花ってば早く起きてよ」
「ん〜あと一時間寝るよ〜」
「ムリだって先生に怒られるよ」
「う〜こっちもムリだよ」
「あっ、織川君だ」

『ガバッ』

「冬花、起きられるじゃん」
「由美のウソつき〜」
「織川君と何かあったんでしょ〜」
「何もないってば!」
「顔が赤いぞ〜怪しい」

冷たいお水で顔を洗いました。
これで眠気も一発で………吹き飛びませんです。(眠)
フラフラしながらの朝食です。

「おっす」

織川君だ。

「お…おはよう」
「眠そうだな」
「うん、眠いよ」

なんか……恥ずかしいです。

「顔赤いぞ?」
「何でもないよ」

朝食のあとはみんなで散歩に出かけました。
そして、陶芸にチャレンジです。

「冬花、これむずいよ〜」

咲希は悪戦苦闘中です。
由美の方は……

「うわっ、グニャグニャになったよ〜」

こちらも悪戦苦闘中です。

「できた〜!」
「冬花上手〜才能あるんじゃない?」
「えへんっ」
「沢田上手いな〜」

その声は織川君。

「どうやったらきれいにできるの?」
「よくぞ聞いてくれました。それは心を無にするのですよ」
「難しいな」
「織川君、冬花は普段から何にも考えていないのよ」

( _ _|||)……ガックリ。酷いよ咲希。
完成した私の作品はなかなかいい出来だったのですよ。
一応花瓶のつもりなんだけど…


◇◇


クラスみんなで初めてのお泊まりは、あっという間に終わっちゃいました。
あとは帰るだけです。ちょっと寂しいかも……
帰りのバスの中は来るときとは違って自由に座れました。
私達は一番後ろの席でした。

「織川君、こっちこっち」

咲希が無理矢理織川君を呼びつけました。

「はい座って」
「オレ、速攻で寝そうだぞ」

織川君は窓際に座りました。

「冬花は織川君の隣ね」
「そうなの」

冬花、なんだか照れちゃいます。
私と織川君はほとんど会話らしい会話をしませんでした。
っていうより、織川君は速攻で寝ちゃいました。
私も凄く眠くなってきました。
バスの揺れが心地いいです。
織川君の寝顔ってかわいい♪

・・・・・⇒

「冬花起きてよ〜着いたよ」

あ…なんだかミントの匂いがするよ〜
ん〜?
あれ? 誰?
私のすぐ目の前に誰かの顔が見えるよ。
う〜ん、えーと……
お、お、織川君!
飛び起きてしまいました。
私、織川君に寄り添って寝てしまってたんだ。

「大丈夫?冬花」
「はひはひ大丈夫だよ」

ビックリしたな〜

「着いた?」
「着いたよ」

バスから降りたら……やっぱなんか寂しいな。

「沢田」
「なに? 織川君」
「お前のお陰で、けっこう楽しかったぞ」
「あの、あの……私も楽しかったよ」
「そっか、じゃあな」
「バイバイ」

心臓がドキドキしています。
これって、これって……
もしかして、これが人を好きになったって気持ちなの?
どうしよう……冬花はどうしたらいいの?
でも、これってやっぱり恋?
うん、たぶんそうだよ。

沢田冬花はこの夏、初めて恋をしてしまいました。

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