Nazca Novels 冬花の夏〜小5の夏の恋心〜

第6話 キスしたの?

眠たいよ〜
どうして今日は休みじゃないんだろう?
普通はこういった行事があると、次の日は休みだよ〜
うちの学校だけじゃないかな〜

だけど、今日は学校に行くのが楽しみかも。
それはね……
それは言えないな〜恥ずかしいもん。

教室のドアを開けたら、いつも通りのみんながいた。
そうしたら、由美が慌てたように走ってきたよ。

「冬花ぁ〜大変だよ」
「由美、どした?」

その瞬間、ヒューヒューって声が上がりました。
はて?なんで?

「沢田、お前さ宿泊研修で織川と抱き合ってキスしてただろ」

・・・。

うわ〜見られてた。
よりによって、なんで宮川君が知ってるのよ。
って、キスなんてしていないよ〜

「キスなんてしてないよ」
「ウソつけ、抱き合っていたの見てたヤツいるんだぞ」

あ〜もう、誰よそんなこと言った人。

『ガラガラ』

あ…織川君だ。
それはそれは絶妙なバットタイミングです。

さっきと同じように、ヒューヒューって声が上がりました。

織川君は一瞬不思議そうな顔をしたけど、何事もなかったように席に着きました。
そこに宮川君が近づいていきました。あぁ最悪。

「織川、お前沢田と抱き合ってキスしただろ」

「……」

織川君は宮川君を思いっきり無視した。

「見たヤツいるんだぞ」
「してねーよ。沢田にハチが寄ってきたから、かばっただけだ」

織川君は1時間目の用意をしながら面倒くさそうに答えてた。

「ウソ臭せーぞお前」
「あのさ、それは宮川にとって何か重要なことなのか?」

宮川君は返事に困った顔をしたよ。ざまみろ〜

「うるせーな、したんだろ?」
「どうでもいいだろ、何だお前……羨ましいのか?」
「バカ言え、あんな鈍くさい女のどこがいいんだよ!」

がーん!
酷いこと言われた。アイツ絶対に大嫌い!

「そっか、なら別にいいだろ。はい終わり」

収まりがつかないのか、宮川のバカが織川君の机を蹴飛ばしたよ。

「カッコつけるなって、お前なんて飲み屋の女のバカ息子だろ」

織川君は宮川のアホを思いきり睨みつけた。
怖いよ〜

「だからどうした」
「お前の母さんは、酒飲まして客から金を巻きあげてるんだろ」
「そうだな、そうかもな〜だから何よ」

『バシッ!』

宮川君が織川君を思いきりビンタした。

「織川あのよ、沢田なんて男なら誰でもいいんだぞ、そんなおばさん女だぞ」

ひどっ、酷い……
私がいったい何悪いことしたの?
宮川君に何か迷惑かけたことしたの?
涙が……涙が出てきちゃったよ。

「やめてよ宮川、冬花が泣いちゃったでしょ」

「いい加減にしろよ宮川、お前自分で何言ってるのか分かっているのか?」
「てめーに関係ない、オレの勝手だろ」
「お前、家で何かあんのか?」
「うるせーな」

『きゃーやめて〜』

教室にクラスの女の子の悲鳴が響きました。
織川君と宮川君が取っ組み合いの大げんかを始めました。

やめてよ宮川君、織川君がケガしちゃうよ〜

……あれ?
織川君が……ケガ……あら?
うわっ、逆に宮川君がボコボコにされてる〜
織川君ってケンカ強っ。

室山君と福永君が止めに入ってくれた。

「オレは二日間沢田と一緒にいたけど、沢田はいいヤツだぞ」

織川君……

「お前に何があるのか知らんけど、周りを巻き込むな! 迷惑だ」

宮川君は泣きそうになりながら黙って聞いていた。
少しだけかわいそうに思えてきちゃった。

「お前、誰からも必要とされなくなるぞ。それって悲しいぞ」

室山君と福永君が宮川君を立ち上がらせてくれた。
二人ともいいとこあるじゃん。

「宮川、あとで沢田に謝っとけ」

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