Nazca Novels 冬花の夏〜小5の夏の恋心〜

第7話 ガンバレって?

微妙な雰囲気で授業が始まっちゃいました。

「宮川、どうしたんだ?」

あっちゃー、先生が宮川君の顔に気が付いちゃった。

「……昨日兄ちゃんとケンカしました」

宮川君、ちょっとだけ見直したよ。

今日一日は何となく微妙な空気が流れていました。
だから長かったよ〜

「冬花、帰ろう」

由美と咲希です。

「うん、帰ろ」

「沢田」

靴箱で靴を履き替えていたら名前を呼ばれました。
うっ、宮川君でした。
嫌だな〜なんの用事でしょう?

「ごめん」

そう言ったかと思ったら、ダーっと走って帰っちゃいました。
冬花、実は心がとっても広いのです。
あんまり宮川君は好きじゃないけど、許してあげることにします。

「謝ったよね、宮川」

咲希が少し驚いたような顔で言いました。

「謝るなら最初からあんなことしなきゃいいのにね」

由美が呆れたような顔で言いました。

「反省しているみたいだから、もういいよ」
「ねえ冬花」
「なに?咲希」
「織川君とホントにキスしたの?」

うわー、咲希ちゃん……ここにきて掘り返しちゃったのね〜

「だから、ハチが来たから怖くて織川君に抱きついちゃっただけだよ」
「だけだって……抱きついちゃったの?」
「だって怖かったんだもん」
「いーなー、私らも抱きつきたかったな〜ねぇ由美」
「ねぇ咲希」

織川君には迷惑掛けちゃったかな〜
よく考えたら、今日は織川君と一度も話さなかったよ…

「冬花は織川君のこと好きなの?」
「う〜ん、えっ?何言うの急に」

体中から汗が噴き出てきたみたいだよ。

「えー顔が真っ赤だよ」
「違うよ〜そんなんじゃないよ〜」

ホントはその通りです。

「今朝の織川君はかっこよかったもんね〜」

うん、凄くかっこよかったよ。
それに嬉しかった。

「咲希は福永君で由美は室山君が好きなんでしょ」
「ピンポーン♪」

なんか二人とも楽しそうでいいな〜
私はそんなに楽しいって感じになれないよ。
だって、今日はお話しできなかったもん。
昨日も一昨日もたくさんお話しできたのに……
早く来年の修学旅行にならないかな〜

「冬花、あれ織川君じゃない」
「どこどこどこ?」
「コンビニから出てきた人」
「あ…ホントだ」

織川君は何かを買って出てきた。
お店の前でそれを開けたように見えました。
何だろ?
……缶詰?
お腹空いているのかな?
織川君は歩き始めました。
少し歩いて立ち止まりました。
あ…猫だ。
猫にあげるんだ。

「冬花、行っておいでよ」
「え…だって……」
「ガンバレ冬花」

ガンバレって言われても、何をどう頑張るの?

「織川君を好きな子ってけっこういるみたいだよ」
「ほ〜そうなんだ……ええっそうなの?」
「大変だよ、他の子に盗られちゃうよ」

何だか小学生の会話じゃないみたいだけど、なんかそれはヤダよ〜
冬花はもっと織川君と仲良くなりたい!

私は忍者のように織川君に近づいたの。

「猫好きなの?」
「うわっ、何だ沢田か」
「猫かわいいね」
「オレの家ってマンションだからペット飼えないんだ」
「うちはお母さんがダメって言うの」

猫さんありがとうね。
君のおかげで織川君とお話ができたよ。

「今日はありがとう」
「別にいいよ」
「嬉しかったよ」

織川君は少し照れたような顔をして猫を撫で撫でしました。

「みんな仲良くしないと、つまらなくなるよ」
「うん、そうだよね」
「思い出は楽しい思い出の方がいいだろ?」
「うん」

みんな仲良くした方が、たくさん楽しい思い出が作れるよね。

「沢田、帰ろっか」
「うん♪」

やったー!織川君とお話しできた〜
今日の冬花は猫さんに大感謝です。

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